建設産業を支える建設業の就業者数は全体の10%弱であり、たいへん重要な産業であると言えます。だからこそ建設業法、その他さまざまな法令により建設業の在り方を定められいるわけであって、建設業が許可制なのも当然のことと言えます。
建設業法に違反するとどうなるのか?
建設業法及びその他法令について、法令違反の代償はとても大きいものになります。
法令違反をした場合は、監督官庁(主に許可権者)から監督処分がなされます。監督処分には、指示処分、営業停止処分、許可取消処分の3種類があります。また、違反行為を行う建設業者には、裁判所が罰則を科すこともあります。
指示処分
指示処分は違反行為があった場合、改善するための指示を行う行政処分です。一般的には、いきなり営業停止や許可取消といった処分を下すのではなく、指示処分がなされます。指示処分がなされると、業者名所在地とともに建設業者監督処分簿に5年間も記載されてしまいます。
営業停止処分
営業停止処分は、新しい建設工事の受注や契約済み建設工事の追加工事受注などの営業活動ができなくなる、たいへん重い処分です。重大な違反行為があった場合は、指示処分を経ずにいきなり営業停止処分が下されることもあります。
許可取消処分
建設業法に違反した場合の制裁として、許可の取消処分は最も重い処分です。許可の取消処分が下されると、5年間は建設業許可を取得することができず、取消時に取締役を務めていた場合は全員が5年間は建設業許可を取得できなくなります。
罰則
検察官によって建設業法違反として起訴され、刑事裁判の手続きを経て罰則が科されます。起訴前に逮捕され身柄を拘束されることもあります。たとえば無許可で建設工事を請け負った場合、違反行為をした社長や工事責任者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科され、その人が働いている方時には1億円以下の罰金が科されます。
建設業法について知っておこう
建設業を営む上で、建設業法、その他関係法令について「知りませんでした」「法律は難しくてわかりません」では済まされません。ここでは、建設業の実務で必要となる建設業関連の法律の基本事項を解説していきたいと思います。
建設業とは、建設工事の完成に対して対価が支払われる請負業のことです。ひとつの仕事について、元請、下請など複数の事業者が関わってきます。建設業は「土木」と「建築」に分かれます。地面より下の仕事が土木、地面より上の仕事が建築です。
建設業に関する法律は多岐に渡ります。建設業法、建築基準法、独占禁止法、建築士法、公共工事品確法、住宅品確法、住宅瑕疵担履行法、廃棄物処理法、建設リサイクル法、建設機械抵当法、都市計画法、宅地造成等規制法、騒音規制法、振動規制法、入札契約適正化法、下請法、国土強靭化基本法などが建設業にかかわる法律です。
その中でも中心となるのが建設業法です。
建設業法の目的は、公共の福祉の増進です。公共の福祉の増進とは、建設業を通してみんな利益や幸せ度を向上させることであり、この目的を達成するために、以下のことが法に記載されています。
1、建設工事の適正な施工を確保
2、発注者の保護
3、建設業の発展と促進
また、そのために建設業に従事する者がとるべき措置として以下の内容が定められています。
1、建設業を営む者の資質の向上
2、建設工事の請負契約の適正化
建設業を行うためには、建設業許可を受けること
建設業を営む場合、軽微な建設工事を請け負う場合を除いて一般建設業の許可が必要であること。元請けが規模の大きな工事を下請けに請け負わせる場合は、特定建設業の許可が必要であること。業種別(29種)ごとに許可を受けること。
建設業を営むのに許可が必要な理由は、建設物を使う人を守り、安心して使うためであり、また、発注者が能力のある建設会社に発注できるようにし、建設物の安全を確保するためでもあります。
適正な請負契約であること
書面による契約、一括下請負禁止などによる下請負人保護。
一括下請負とは「丸投げ」のことです。発注者の信頼関係を裏切ることになり、責任の所在が不明確になる、さらには実際に工事をしない元請が利益を得ることになるため、禁止されています。
施工技術を確保すること
建設工事の適正な施工に関することや技術者の設置、技術検定、施工体制台帳や施工体系図の作成など。適切に請負関係を構築していることを記録として残さなければないけません。
建設業関連の法律は多岐に渡り、どれも重要なものです。実際の工事業務と法律がどう関係しているのかあらかじめ確認しておく必要があります。建設業許可、入札、下請契約の締結、産廃処理など法務にかかわることはきちんと整理しておきましょう。