建設業許可を取るための要件の一つとして、専任技術者を営業所ごとに配置する、というものがあります。
専任技術者の要件を満たすには、業種ごとに指定された資格を持っている、もしくは一定期間以上の実務経験があることが必要なのですが、実務経験の証明は最長で10年分必要であり、証明できるような書類や資料の準備がとても大変です。
一方で、業種ごとに要求されている国家資格を持っていれば実務経験がなくても専任技術者の要件を満たすことができるため、国家資格保持者を専任技術者として建設業許可申請することが多いです。
建設系の資格に使えないものはないと言われるほどどれも優秀な資格ばかりなのですが、その中でも今回は、仕事や建設業許可取得に役立つオススメ建設系資格のをランキング形式でご紹介したいと思います。
尚、あくまで独断と偏見による個人的なものですのでご了承ください。
10位 技能検定(職業能力開発促進法)
人気・需要 | ★★ |
取得難易度 | ★★★ |
取得にかかる時間 | ★★★ |
総合評価 | ★ |
技能士法の技能検定で国家資格です。有名どころで言うとファイナンシャルプランニング技能検定があります。
技能検定は132種類あり、その中で建設業に関連するものが専任技術者の要件に当てはまります。
試験の難易度によって1 級、2 級、3 級に分かれますが、建設業許可で求められているのは1級です。(2級では3年の実務経験が必要、3級では要件を満たさない)
2級と1級の難易度の差が大きい試験もあり、取得難易度は高いです。
9位 基幹技能者
人気・需要 | ★★ |
取得難易度 | ★ |
取得にかかる時間 | ★★★★ |
総合評価 | ★ |
基幹技能者は、大臣の登録を受けた機関が実施する登録基幹技能者講習の修了者のことで、職種ごとにいろいろあって、現在では42種類あります。講習を受けたものは登録基幹技能者として認められるという、これだけ聞けばお得な資格に思えますが、しかしながら、講習を受けるための要件が厳しく、要件を満たすのがそもそも難しい資格です。
申請する建設業の種類ごとに実務経験10年以上、職長経験3年以上が必要であり、それだけの実務経験が証明できるのであれば専任技術者になれてしまいます。ですから建設業許可取得のためにこの資格を取るという意味はほとんどないと言わざるを得ません。
登録基幹技能者が配置されていれば、経営事項審査においても評価の対象となるため、その点では建設会社内での価値は高く、実務経験があるのであれば狙って損のない資格ではあると言えます。
8位 宅地建物取引士
人気・需要 | ★★★★ |
取得難易度 | ★★★ |
取得にかかる時間 | ★★ |
総合評価 | ★★(★★) |
通称宅建士。この資格を持っていても残念ながら専任技術者の要件は満たさないのですが、それでもあえてランクインさせました。
建設業と不動産業は切っても切り離せない関係で、仕事に役立つ知識も学べます。
受験するのに実務経験等は必要なくだれでも受験できますのはいいとこなのですが、50点満点中36点前後が合格ラインで、必要な勉強時間は1点1時間と言われていますので、毎日1時間を1年間続ける必要があるため試験自体の難易度は高めです。
7位 技術士
人気・需要 | ★★★ |
取得難易度 | ★★★★★ |
取得にかかる時間 | ★★★★★ |
総合評価 | ★★★ |
技術士とは、科学技術系資格の最高峰と言われる超難関資格です。
建設部門、上下水道部門、機械部門、環境部門など21部門に分かれており、もっとも受験者数が多いのは建設部門です。
試験難易度が高いだけでなく、2次試験を受けるために実務経験が必要になるなど受験ハードルも高いのですが、建設部門の技術士資格を取得することで建設コンサルタントや官公庁への就職、技術士としての独立など仕事の幅が広がるというのが大きな魅力です。
6位 一級建築士
人気・需要 | ★★★★ |
取得難易度 | ★★★★ |
取得にかかる時間 | ★★★★ |
総合評価 | ★★★ |
一級建築士は、言わずと知れた建築系資格の最高峰であり、建設業界のオールラウンド・プレイヤーとして活躍しています。大都市の高層ビルから田舎の庭付き一戸建てまで様々な建物が十分な機能と耐久性を持つように設計し、工事の監理も行います。
学科と製図の2試験に合格しないといけないため、合格率は毎年10%前後という難関資格となっています。
一級建築士は、以下の業種において専任技術者要件を満たします。
- 建築一式工事
- 大工工事
- 屋根工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 内装仕上工事
5位 電気工事施工管理技士・管工事施工管理技士・電気通信工事施工管理技士・造園施工管理技士
食人気・需要 | ★★★ |
取得難易度 | ★★ |
取得にかかる時間 | ★★ |
総合評価 | ★★★ |
施工管理技士は国家資格です。7種類の資格にそれぞれ1級と2級があります。
その中でもこの4つの施工管理技士は、該当業種で専任技術者の要件を満たそうと思ったら、2級施工管理技士の取得はほぼ必須といえます。
実務経験が必要で試験内容も難しいのですが、活躍の場は広く、独立開業にもつながる魅力のある資格です。
電気工事施工管理技士(1級・2級)
→電気工事
管工事施工管理技士(1級・2級)
→管工事
電気通信工事施工管理技士(1級・2級)
→電気通信工事
造園施工管理技士(1級・2級)
→造園工事
4位 建設機械施工技士(2級)
人気・需要 | ★★★ |
取得難易度 | ★★ |
取得にかかる時間 | ★★ |
総合評価 | ★★★ |
建設業界の専任技術者として嘱望されている資格です。この資格で専任技術者の要件を満たす業種は3種類あります。
その中でも、人気の土木一式工事及びとび・土工・コンクリート工事の2業種の要件を同時に満たせることは大きく、活躍の場はたいへん広いと言えます。
建設機械施工技士は、以下の業種において専任技術者要件を満たします。
- 土木一式工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 舗装工事
3位 二級建築士
人気・需要 | ★★★★ |
取得難易度 | ★★★ |
取得にかかる時間 | ★★★ |
総合評価 | ★★★★ |
一級建築士は、設計できる建物の構造、規模の制限がなく、どのような建物でも設計することができますが、二級建築士は、戸建て住宅の設計を想定した資格であり、設計できる建物の構造、規模に制限があります。
とはいえ、建築全般に携わるという面では1級建築士と役割は同じであり、設計から工事監理まで、建物の建築に関わるすべてを手掛ける専門家であることに変わりはありません。
建物づくりに責任者として携われるのは建築士だけです。建設業に携わるのであればぜひとも目指したい資格のひとつです。
二級建築士は、以下の業種において専任技術者要件を満たします。
- 建築一式工事
- 大工工事
- 屋根工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 内装仕上工事
2位 建築施工管理技士
人気・需要 | ★★★★ |
取得難易度 | ★★★★ |
取得にかかる時間 | ★★ |
総合評価 | ★★★★ |
1級の建築施工管理技士であれば、実に17業種の専任技術者要件を満たすことができます。1級ともなると試験難易度は高いですが、目指す価値がある資格です。
建築工事において施工計画を作成し、工事を管理するのが主な仕事。
主に現場監督の方が取得する資格であり、毎日忙しく働く中でもしっかりと勉強時間を確保することが必要です。
一級建築施工管理技士は、以下の業種において専任技術者要件を満たします。
- 建築一式工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 建具工事
- 解体工事
1位 土木施工管理技士(2級)
人気・需要 | ★★★★★ |
取得難易度 | ★★ |
取得にかかる時間 | ★★★ |
総合評価 | ★★★★★ |
高度な専門知識と管理能力が要求されるだけに社会的評価も高く、土木系現場監督として活躍するうえで最重要なのがこの資格です。
土木で建設業許可を取るのであれば取得必須業種である土木一式工事ととび・土工・コンクリート工事の要件を満たすのはもちろんのこと、舗装や解体など土木にかかわるほとんどの業種を2級でカバーできるのが最大の強みです。
自営であっても企業内であっても第一線で活躍できます。
二級土木施工管理技士は、以下の業種において専任技術者要件を満たします。
- 土木一式工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 鋼構造物工事
- しゅんせつ工事
- 舗装工事
- 水道施設工事
- 解体工事
建築系の資格は専門性が高く、難しい資格が多いです。
しかしながら建設業許可の専任技術者の要件として要求される資格を取得することで得られるメリットも大きいです。その資格を持っていることスキルや知識の客観的な証明となり、で独立開業の道も開けます。
ぜひ目的にあった資格の取得を目指してみてください。